大島学習塾のブログ

有理数が有限小数となる条件
2020年7月1日 2020年7月2日
私は学習塾で指導しているので、よく生徒さんから質問を受けます。 質問された内容は、実際にその生徒さんが理解できなかった部分なので、他の学習者にとっても理解しにくい部分であると考えられます。そこでこのブログでは、授業中やLINEで質問された内容から「これは!」と思う項目をピックアップして解説していきたいと思います。
さて、昨日の授業で受けた質問で、有理数が有限小数になる条件が必要になる問題がありました。今回の記事では、有理数が有限小数になるための必要十分条件を解説したいと思います。
 
まずは用語の確認です。

有理数とは、整数 $m$ と自然数 $n$ を用いて、$\dfrac{m}{n}$ と表される数全体のことです。この表示は一意的ではありません。例えば、$\dfrac{6}{4}=\dfrac{3}{2}$ です。$\dfrac32$ のように、それ以上約分できない分数を既約分数といいます。

有限小数とは、$0.5$ や $1.234$ などのように、小数で表したときに小数点以下有限の位で終わる数のことです。

有限の位で終わらない小数は無限小数と呼ばれています。 無限小数には、 $$ \frac{6}{11}=0.54545454\cdots $$ のように、同じ数字の列(この場合は $54$)が繰り返し現れるような循環小数と、 $$ \pi=3.14159265\cdots $$ のように、同じ数字の列の繰り返しにならない非循環小数があります。

有理数を小数で表したとき、有限小数かまたは循環小数になることが知られています。そのことの証明も重要ですが、今回のテーマからは話がそれてしまいますので割愛します。いずれこのブログの他の記事で証明するかもしれません。

今回のテーマはこれです:
[命題] 有理数が有限小数で表されるための必要十分条件は、既約分数で表したとき分母の素因数が $2$ と $5$ のみとなることである。

[証明] 有理数 $r$ が有限小数で表されているとする。$r$ が小数第 $k$ 位までで終わる(小数第 $(k+1)$ 位からは $0$ となる)とすると、$10^k\times r$ は整数となる。この整数を $m$ とすると、 $$ r=\frac{m}{10^k} $$ と表される。この分数を約分した場合、分母には $2$ と $5 $ 以外の素因数は現れない。
逆に、有理数 $r$ を既約分数で表したときの分母が $2^k 5^l$($k$,$l$は非負整数)と表されるとき、$m=\max(k,l)$ とすると、$10^m\times r$ は整数となるので、$r$ は高々小数第 $m$ 位までしか $0$ 以外の数字を持たない。すなわち有限小数で表される。■

分母の素因数に $2$ と $5$ のみが許されるのは、十進法で数を表していることに起因します。興味がある方は、十進法以外でも同様の条件を考えてみてください。
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