大島学習塾のブログ

ゴールデンな数学に挑戦(その3)
2021年2月18日
今、数学漫画業界(?)で一番アツい漫画!
それが『数学ゴールデン』ですっ!!
待望の第2巻が2月26日(金)についに発売ですネ!!
…私はもちろん楽天ブックスで予約済みですっ!!^^

この作品の魅力の1つは、作中にリアルな、数学オリンピックレベルの問題が登場して、主人公たちとともに難問に挑戦することができることです!
今回の記事では、第1巻第4話に登場した次の「方程式」の問題にトライしてみました:
問題
次の等式を満たす正の実数 $x$ を求めよ。
\[ x+\textstyle\sqrt{x(x+1)}+\sqrt{x(x+2)}+\sqrt{(x+1)(x+2)}=2 \]
主人公の少年が、ともに数学を学ぶ仲間たちに徐々に心を開いていく、重要なシーンに登場する問題です。

問題 に対する私の解法をご紹介する前に「復習」です。
第1巻第1話に登場した「組み合わせ」に関する問題と、第1巻第2話に登場した「不定方程式」に関する問題についての記事も書いています。
是非、あわせてご覧ください^^♪
それでは、解法のご紹介に移りましょう。解くべき方程式を
\[ x+\textstyle\sqrt{x(x+1)}+\sqrt{x(x+2)}+\sqrt{(x+1)(x+2)}=2\quad\cdots\,(\ast) \]
とします。
$x$ は「正の実数」という条件ですが、とりあえず $x=0$ を代入してみると $(\ast)$ の左辺は
\[ 0+\sqrt{0}+\sqrt{0}+\sqrt{2}=\sqrt{2}<2 \]
となります。解の範囲を絞り込むために、ためしに $x=1$ を代入してみると
\[ 1+\sqrt{2}+\sqrt{3}+\sqrt{6}>2 \]
となるので、$(\ast)$ の左辺が $x>0$ で単調増加であることも考え、$0\lt x\lt 1$ の範囲に唯一の解が存在すると分かるので、それを見つければクリアということになります。

それでは、方程式 $(\ast)$ をイジっていきますが、ひとまず「正攻法」ということで、2乗してルートを減らしていきます。
\[ x+\textstyle\sqrt{x(x+1)}+\sqrt{x(x+2)}=2-\sqrt{(x+1)(x+2)} \]
の両辺を2乗して
\begin{align*} &x^2+x(x+1)+x(x+2)+2x\textstyle\sqrt{x(x+1)}+2x\sqrt{x(x+2)}+2x\sqrt{(x+1)(x+2)}\\[0.5ex] &=4-4\textstyle\sqrt{(x+1)(x+2)}+(x+1)(x+2) \end{align*}
整理して
\begin{align*} &2x^2-6+2x\big(\textstyle\sqrt{x(x+1)}+\sqrt{x(x+2)}+\sqrt{(x+1)(x+2)}\big)\\[0.5ex] &=-4\textstyle\sqrt{(x+1)(x+2)} \end{align*}
ここで、$(\ast)$ より、
\[ \textstyle\sqrt{x(x+1)}+\sqrt{x(x+2)}+\sqrt{(x+1)(x+2)}=2-x \]
なので、上式は、
\[ 2x^2-6+2x(2-x)=-4\textstyle\sqrt{(x+1)(x+2)} \]
すなわち、
\[ 4x-6=-4\textstyle\sqrt{(x+1)(x+2)} \]
となります。意外と簡単にルートの項が減って簡単になりましたネ♪
両辺を $2$ で割ってから2乗すると
\[ 4x^2-12x+9=4(x+1)(x+2) \]
となりルートが消えます。
あとは両辺を整理して得られる1次方程式を解くだけです。 \[ x=\frac{1}{24} \] が得られます。$(\ast)$ の左辺に代入して確かめてみると
\begin{align*} &\frac{1}{24}+\sqrt{\frac{1}{24}\cdot\frac{25}{24}}+\sqrt{\frac{1}{24}\cdot\frac{49}{24}}+\sqrt{\frac{25}{24}\cdot\frac{49}{24}}\\ =&\frac{1}{24}+\frac{5}{24}+\frac{7}{24}+\frac{35}{24}=2 \end{align*}
となり確かに成り立ちます(ルートがキレイに消えていくなかなか爽快な計算ですね^^♪)。
解は1つしかないことはチェック済みなので、これで問題解決です!^^

今回の問題は、とりあえず2乗して変形してみると意外と簡単になって解けちゃった…という感じでした^^
漫画の中で、主人公のライバルがこの問題について議論しているときに「問題はどこかの誰かに作られたものだから、問題作成者の狙いを見抜くことが重要」と いう趣旨のセリフをいいます。
私はまだまだこの問題の「真の狙い」を理解できていないような気がします^^;

私は普段は中学生・高校生への指導を仕事にしているので、高校入試・大学入試の問題を解くことはよくあります。
でも、数学オリンピックの問題とは雰囲気というか、難しさのベクトルが違うので、『数学ゴールデン』の作中でオリンピック風の問題と出会えるのは新鮮で楽しい体験です!
第2巻も、たくさんの数学の問題が登場すると思うので、ストーリーと並行してそれらの問題も楽しんでいこうと思います。
冒頭でも書きましたが、第2巻が2021年2月26日発売です:
まさか、まだ1巻を読んでいない人類がいるとは思えませんが、念のため第1巻のリンクも貼っておきます:
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